フロリダ州、医療用大麻使用者の約8割がオピオイドの減量・中止を報告

フロリダ州、医療用大麻使用者の約8割がオピオイドの減量・中止を報告

- アメリカの横断的研究

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9月27日、米フロリダ州の医療用大麻使用者の大麻使用状況、医療用大麻合法化前後における健康状態や鎮痛薬の使用状況の変化などを調査した結果が同州の研究者らにより報告されました。

フロリダ州では2014年に医療用大麻が合法化され、嗜好用大麻は違法となっています。今回の研究は医療用大麻薬局に訪れた人を対象に行ったオンライン調査を分析したもので、調査は2018年8月〜10月にかけて実施されました。

有効回答者数は2183名で(ただし、全員が全ての項目に回答したわけではない)、54.4%が女性。年齢は30代〜60代の範囲で、年代ごとの割合はそれぞれ20%程度でほぼ均等でした。

ほとんどの回答者が複数の疾患・症状を有しており(1〜2種類:23%、3〜5種類:44%、6種類以上:33%)、最も多かったのは痛みと精神症状の合併(47.9%)で、次いで精神症状(28.9%)、痛み(9.1%)となっていました。

大麻の使用頻度(回答者1882名)は「1日の中で定期的に」と回答した人が55%で最も多く、それ以外でも「1日の中でたまに」(24.6%)、「1日に1、2回」(9.7%)、「夕方のみ」(8.7%)と大多数の人が毎日の使用を報告。

大麻の使用期間(回答者1934名)は1年以内が65.1%で最も多く、次いで1〜3年(21%)となっていました。

回答者の多く(1685名中68.7%)が1つ以上の副作用の経験を報告しましたが、ほとんどの人(2084名中90.6%)が医療用大麻が自分の疾患や症状に対し「非常に役に立った」「とても役に立った」と回答し、さらに1871名中88.7%が自身のQOLにおいて医療用大麻が「非常に大切」「とても大切」と回答しました。

医療用大麻合法化前後における健康状態の変化は、健康に関連したQOLを評価する尺度「SF-36」を参考とし、「身体機能」「身体的な問題による役割機能の制限」「身体の痛み」「社会的機能」「精神的な問題による役割機能の制限」の5領域に対する回答を得ることで評価されました。

医療用大麻合法化後に改善が報告された領域は「身体機能」(1931名中76%)、「身体の痛み」(1925名中90%)、「社会的機能」(1903名中84%)では多くなっていましたが、残りの2つの領域では変化がなかったと回答した人が多くなっていました(「身体的な問題による役割機能の制限」811名中67.2%、「精神的な問題による役割機能の制限」680名中78.1%)。

健康状態の悪化を報告した人はいずれの領域でも5%未満でほとんどおらず、むしろ統計分析では、医療用大麻合法化後全ての領域において有意な改善が認められたことが示されました。

最後の項目では、医療用大麻合法化前後における鎮痛薬の使用状況の変化について調査されました。医療用大麻合法化前にオピオイド鎮痛薬を使用していた人は1912名中60.1%。ヒドロコドン・アセトアミノフェン配合錠(36.8%)、オキシコドン・アセトアミノフェン配合錠(26.8%)、オキシコドン(19.3%)の順番でした。

医療用大麻合法化後、鎮痛薬の使用状況の変化を報告した人は1114名中93.4%で、大多数(959名中79.3%)がオピオイドの減量・中止を報告。オピオイド鎮痛薬の使用者は1861名中20.3%にまで減り、鎮痛薬の種類ごとの使用率は全て7.5%を下回りました。なお、オピオイドの増量を報告した人はいませんでした。

以上の結果から研究者らは「医療用大麻はQOLや健康機能を損なうことなく、オピオイド鎮痛薬の減量や中止に役に立つ可能性がある。このことはオピオイド危機(Opioid Crisis)が問題となっているアメリカにとって重要となる」と述べています。

※オピオイド危機について

オピオイド鎮痛薬は現時点で最も効果の高い鎮痛薬であるが、アメリカではこのオピオイドの過剰摂取や誤用が社会問題となっており、1999年から2019年にかけ、これらによる死亡者数は約4倍になったことが報告されている。なお、オピオイドによる死亡原因は主に「呼吸抑制」である。

大麻は主に慢性疼痛を中心とした痛みに対し有効性を示しており、オピオイドの減薬や中止に期待が寄せられている。

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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