睡眠障害患者の9割以上が医療用大麻の使用による睡眠薬の減薬を報告

睡眠障害患者の9割以上が医療用大麻の使用による睡眠薬の減薬を報告

- オーストラリアの観察研究

4月17日、オーストラリアの医療用大麻使用者における実態調査を分析した結果、睡眠障害患者のほとんどで睡眠の改善や睡眠薬の減薬が認められていたことがシドニー大学の研究者らにより報告されました。この論文は「Nature and Science of Sleep」に掲載されています。

オーストラリアは2016年に医療用大麻を合法化。それ以降、医療管理局(TGA)が5年間収集したデータによれば、医療用大麻の主な適応症は痛み不安、睡眠障害であることが明らかにされています。

今回の研究では、2020年9月から2021年1月にかけて実施された医療用大麻実態調査「薬としての大麻調査(Cannabis As Medicine Survey)2020」のデータを用いて、睡眠障害患者の大麻の使用パターンや有効性などについて調べられました。なお、この調査の「医療用大麻」には、医師が処方した大麻だけでなく、違法ルートで入手した医療目的の大麻も含まれています。

医療用大麻の使用目的として最大7つまでの回答が可能となっていた項目において、1600名中64.4%が「睡眠障害」を申告。具体的な睡眠障害として最も多かったのは不眠症(85.5%/1030名)であり、次いで睡眠関連運動障害(26%/1030名)、睡眠関連呼吸障害(11.1%/1030名)、概日リズム睡眠障害(10.6%/1030名)、睡眠時随伴症(8.2%/1030名)、ナルコレプシー(1.5%/1030名)となっていました。

睡眠障害が医療用大麻の主な使用理由であると回答したのは982名中16.8%で、これらの患者は睡眠障害以外に痛み(42%/982名)、精神疾患や物質使用障害(32.5%/982名)、神経障害(6.9%/982名)、がん(2.3%/982名)などのために大麻を使用していると回答していました。

睡眠障害のために大麻を使用していると回答した1030名(男性52.3%、平均年齢44.9歳)のうち、62.8%が違法ルートのみで大麻を入手していると回答。医師から処方されたと回答した人は10.7%で、違法ルートと医師の処方の両方と回答した人は26.5%となっていました。

睡眠障害のために大麻を使用している人は、その他の病状のために大麻を使用している人と比べ、喫煙や気化摂取(52.4%)が多く、THC優位の大麻を使用している傾向がありました(32.1%)。

入手ルート別にみると、違法ルートでは喫煙や気化摂取(67.9%/863名)が多く、医師の処方では経口摂取(68.1%/361名)が多いことが明らかに。カンナビノイドの組成に関しては、医師の処方ではTHCとCBDが同比率(39.8%/364名)、THC優位(29.9%/364名)のものが主流であったのに対し、違法ルートではTHC優位(34.6%/866名)、不明(33.8%/866名)のものが多くなっていました。

このような違いはありつつも、睡眠障害に対する大麻の有効性に関しては、違法ルート(83%/388名)でも医師の処方(78.1%/188名)でも、「非常によく改善した」「よく改善した」と回答した人が大多数を占めました。

さらに、医療用大麻の使用により、ほとんどの人(94.5%/414名)がベンゾジアゼピン系薬(睡眠薬や抗不安薬など)の減薬を報告。アルコールに関しても、514名中62.5%が摂取量の減少を報告しました。

また、回答者の特性と睡眠障害に対する大麻使用との関連性を分析した結果、痛みや精神疾患、物質使用障害、胃腸障害に対し大麻を使用している人が、睡眠障害に対しても大麻を使用している割合が高いことが明らかとなりました。

医療用大麻の主な使用目的として睡眠障害と挙げた人が16.8%であったことも考慮すると、今回の調査で報告された睡眠の改善は、併存する症状(痛みやその他の精神疾患など)の改善によりもたらされた可能性が高いと、研究者らは述べています。

カナダの研究者らによる2022年のシステマティックレビューでは、慢性疼痛患者の睡眠改善において、医療用大麻やカンナビノイドは中程度のエビデンスがあるとされていますが、その恩恵の程度は小さいと結論付けられています。

カナダのマックマスター大学の研究者らは、医療用大麻使用者の追跡アプリ「Strainprint」にある3年分のデータを分析した結果、不安症やうつ病を抱える患者のほとんどで不眠の改善が認められていたことを明らかにしています

オーストラリア統合医療国立研究所(NIIM)の研究者らは、不眠症患者29名に大麻抽出物を2週間服用してもらった結果、夜間のメラトニン量が増加するとともに、65%が臨床的に不眠症と診断されない状態となり、プラセボと比較して有意に不眠が改善されたことを報告しています

米コロラド州の調査では、回答者1,000名のうち74%が睡眠のために大麻を使用し、このうち83%が「最も役に立つ」あるいは「とても役に立つ」と回答。また、過去6ヶ月以内に市販の睡眠薬を服用していた人のうち87%、処方された睡眠薬を服用していた人のうち83%が、これらの減薬や中止を報告しています。

西オーストラリア大学の研究では、不眠症患者に2週間、THC20mg/ml、CBN2mg/ml、CBD1mg/ml、テルペンを含有するひまわり油を就寝1時間前に1.0mlずつ舌下投与してもらった結果、プラセボと比較して睡眠の量と質が改善されたことが報告されています。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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