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「イタリア」現在の大麻の合法化状況

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嗜好用大麻

自家栽培を4株まで合法

医療用大麻

合法

イタリアの嗜好用大麻の法律

2021年9月8日 イタリア議会での投票により大麻改革案が承認されました。

今回の法改正によって、個人使用目的で4株までの大麻を自宅で栽培することが可能となります。

個人使用目的の自宅での大麻栽培を法律によって認めたのは、ヨーロッパでは初めてのことです。

 

法律の穴を利用した観賞用大麻、カンナビスライト

イタリアでは、政府の大麻に関する法規制の抜け穴を利用して「観賞用大麻の販売」がされています。

EUではTHC含有量0.2%以下の大麻を産業用として認めており、イタリアではEU認証済みの種を使用するための認可は必要ありません。また、2016年のイタリアでの法改正によってTHC含有量0.2%を超えても0.6%以下の場合は栽培者には責任はないこととなりました。

大麻の花の販売を規制していないこともあり、THC含有量0.6%以下の大麻が「カンナビス・ライト(Cannabis Light)」として無秩序に市場に出回り販売業者は爆発的に増えています。

法律に基づいて、大麻の花をくだいたり、吸ったり、食べたりしてはいけないので、パッケージには注意書きを添えて販売されています。

 

イタリアの医療用大麻の法律

2013年 医療用大麻合法化

保健省の認可を得ることを条件に業者の栽培、販売、輸入が認められていますが、患者による栽培は認められていません。

医療用大麻を使用するには、まず始めに他の治療法を行うことを政府は求めています。その治療法でも回復が見込めない場合に医師による処方によって使用できます。使用できる薬は以下の3分類です。

①イタリアで既に認可されている大麻医薬品

②イタリアでは認可されていないが、外国で正式に認可されている大麻医薬品

認可されていない医薬品をイタリアに輸入するために保健省と管轄の税関に医師を通して要請書を送付する必要があります。申請書には、有効な代替治療法がないため無認可の医薬品に頼るという文言など、輸入を正当化する特別な理由が含まれる必要があります。

③専門薬局で特別調合するカスタム処方薬に大麻を使用する

使用する大麻は合法的に輸入された大麻、またはフィレンツェのイタリア化学薬品軍事施設(Stabilimento Chimico Farmaceutico Militare)で医療用に生産された大麻を使用できます。厚生省がこの大麻の費用を標準化するために、価格の上限を1グラムあたり8.50ユーロから9.00ユーロの間に設定。しかし、この価格は薬局の利益率が限られているため、大麻の需要に対して供給不足をもたらしています。

イタリアの医療用大麻の患者の疾患条件

拒食症
慢性的な痛み
緑内障
多発性硬化症
吐き気
脊髄損傷
トゥレット症候群

 

イタリアの産業用大麻ヘンプの法律

1940年代までイタリアはソ連に次ぐ世界第2位の産業用大麻の生産国でした。(中国は世界一と言われていますが統計データなし)

しかし、1950年代から世界的な大麻撲滅運動によってイタリアの麻畑はほぼ全滅しました。

現在では、EU認証済みの種を使用しTHC0.2%以下とすることを条件に産業用大麻を利用できます。

2016年、海外から小麦を輸入する大企業との競争でダメージを受けた小麦栽培農家の代替手段を提供するために、産業用大麻栽培の認可制度を撤廃し自由に栽培が可能になりました。

イタリアではTHC含有量が0.2%を超えた場合でも0.6%以下の場合は栽培者には責任がないと定めていますが、THC含有量が0.6%を超えた場合には大麻押収や栽培施設の破壊という罰則が取られます。また、産業用大麻に定義されていない大麻を栽培した場合には6年から20年の懲役刑と2.6万ユーロから26万ユーロの罰金が科される可能性があります。

食品に使用する場合には、ヘンプの種子のみ使用が認められており花や葉などは認められていません。

 

イタリアのCBDの法律

イタリアでは、医薬品のリストにも食品やサプリメントに使用できる成分リストにもCBDは入っていません。

CBD食品を販売するには、新規の食品とみなされるためEU規則2015/2283に基づいて欧州委員会による認可が必要となります。

また、EUの規則ではEU化粧品規則1223/2009の中で化粧品へ大麻及び大麻抽出物の使用を禁止しています。しかし、欧州委員会は化粧品成分データベースにCBDに関する2つの項目を追加し「大麻抽出物、チンキ、樹脂に由来するCBD」と「合成されたCBD」を区別。これにより、大麻植物由来の天然CBDは禁止されていますが科学的に合成された合成CBDの使用は認められています。

日本人に向けた外務省からの注意喚起

日本では、大麻取締法において、大麻の所持・譲受(購入を含む)等については違法とされ、処罰の対象となっています。この規定は日本国内のみならず、海外において行われた場合であっても適用されることがあり、在留邦人や日本人旅行客におかれましては、これら日本の法律を遵守の上、日本国外であっても大麻に手を出さないように十分注意願います。

石井 竜馬

麻マガジン創設者兼編集長。標高1,000mの山の中で井戸を掘り、湧き水と共に家族で農的暮らし。珈琲焙煎士でもある。ヨガ歴20年。ワクワクするスタートアップにシードからレイターまで投資ラウンド問わず投資したいため、起業家との出会い募集中。

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