コロンビア、嗜好用大麻合法化に迫る 年内成立の可能性

コロンビア、嗜好用大麻合法化に迫る 年内成立の可能性

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5月9日、南米の国コロンビアの下院議員らは、嗜好用大麻合法化法案を正式に可決。法案は今後上院に送られ、委員会と本会議で承認されれば、大麻合法化を支持するグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)大統領の元へ送付されます。

この嗜好用大麻合法化法案は、市民が規制された法的枠組みの中で大麻の使用を決定することを可能にし、大麻を使用する人々に対する差別的な扱いを緩和するものとされています。また、同法案では、公教育キャンペーンや薬物誤用に対する治療サービスの促進も呼びかけられています。

この法案は憲法改正案となっているため、正式に法制化されるためには、上院と下院で各2回ずつ承認するというプロセスを2年間繰り返す必要があります。つまり、この法案を成立させるためには、2年間で計8回の審議をクリアしなければなりません。

コロンビア議会は昨年、上院と下院でそれぞれ別々の嗜好用大麻合法化法案を可決。これらは統合され、両院で承認されています。

今年3月、同法案は下院の委員会で5回目の審議をクリア。そして、第6回目となる今回の審議において、下院議員らは98対57の賛成多数で法案を正式に承認しました。

2022年に新たに大統領に就任したグスタボ・ペトロ氏は、コロンビア初の左派の大統領です。同年、ペトロ大統領は提出されていた大麻合法化法案について「今こそ、麻薬戦争は失敗だったと国際社会が認めるべき時が来た」と述べ、嗜好用大麻の合法化に対し支持を表明しています

そのため、今後合法化法案が上院の委員会(7回目の審議)、本会議(8回目の審議)を通過すれば、大統領が署名する可能性は高く、そうなれば、世界一のコカイン生産国として知られるコロンビアにおいて、年内に嗜好用大麻の合法化が成立すると考えられます。

昨年の上院委員会の公聴会で、ネストル・オスナ(Néstor Osuna)法務大臣は「50年前に考案され失敗に終わった戦争は、不条理な禁止主義により、多くの血、武力紛争、マフィア、犯罪をコロンビアにもたらしました」と発言。

同法案の立案者である自由党のホアン・カルロス・ロサーダ・バーガス(Juan Carlos Losada Vargas)議員は先月、5回目の審議で法案が承認されたことに対し、「(コロンビアは)禁止という失敗したパラダイムを捨て、公衆衛生、消費の防止、市民の権利保障といったガイドラインに導かれた政策分野を切り開く、新たな薬物政策に向けた一歩を踏み出す準備ができています」「麻薬との闘いに新たな歴史を刻み始めるまで、あとわずかです」と述べています。

現在、コロンビアでは20gまでの大麻の所持と、20株までの大麻の栽培が非犯罪化されています。

医療用大麻は2015年に合法化され、医療用大麻の栽培、加工、大麻由来医薬品の使用などが認められています。以降、同国の大麻産業は発展を続け、2022年の医療用大麻の輸出量は840万ドル(約11億3,000万円)相当となり、前年の2倍を記録しています。

また、コロンビアでは今年1月1日より、Khiron社の医療用大麻製品を保険適用とすることを義務化しています

Marijuana Moment「Colombian Marijuana Legalization Bill Approved In Chamber Of Representatives, Sending It To Senate For Final Votes」https://www.marijuanamoment.net/colombian-marijuana-legalization-bill-approved-in-chamber-of-representatives-sending-it-to-senate-for-final-votes/

Confidencial Colombia「Cannabis de uso adulto: salvados por un voto」https://confidencialnoticias.com/colombia/opinion/cannabis-de-uso-adulto-salvados-por-un-voto/2023/04/30/

International Cannabis Business Conference「Colombian Cannabis Exports Nearly Doubled Last Year」https://internationalcbc.com/colombian-cannabis-exports-nearly-doubled-last-year/

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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