大麻成分のCBDが紫外線対策に有用な可能性が報告される

大麻成分のCBDが紫外線対策に有用な可能性が報告される

- 中国の基礎研究

皮膚にとって天敵とも言える存在である紫外線。

紫外線にはUVA、UVB、UVCの3種類があり、皮膚トラブルを起こすのはUVAとUVBです(UVCはオゾン層に吸収され、地表には到達しません)。

UVAは紫外線のほとんどを占め、照射は真皮にまで到達し、じわじわと皮膚のたるみや張りに影響を及ぼします。曇りでも地表まで照射され、また冬でも夏の半分程度の量が照射されると言われています。

一方でUVBはレジャー紫外線とも呼ばれ、表皮に炎症を起こし、赤みや色素沈着をもたらします。

大麻成分CBD(カンナビジオール)はこれまでの研究において、にきびや乾癬、そうよう症などの皮膚の疾患・トラブルに有効性を示しています。紫外線に対する有効性も細胞株を用いた研究によりいくつか報告されており、例えば2021年のポーランドの研究ではCBDは抗酸化・抗炎症作用を通してUVA・UVBから皮膚を保護したことが報告されています。

そして今回10月10日、CBDがUVBに対し保護作用を示したことが、中国の研究チームからも報告されました。

細胞株を用いた検証により、CBDはUVBによるアポトーシス(細胞死)や細胞周期の乱れ、DNAの損傷を緩和この保護作用は抗酸化作用、オートファジーの活性化により認められたことが示されました。

※オートファジーとは

細胞が自身のタンパク質を分解し、新陳代謝を行うリサイクルシステム。がん、神経変性疾患、生活習慣病など、様々な病気の抑制に関与しているとされる。

さらにマウスによる検証も行われ、あらかじめCBD5%を含有したクリームを塗布したマウスは、対照のマウスと比べ、UVB照射による皮膚の障害や変性が少なかったことが報告されました。

以下に詳細を記載。

表皮細胞(HaCaT細胞)による検証

UVBの照射により表皮細胞はアポトーシスが2.6倍増加し、生存率が低下(80mJ/cm2:84.7%)。CBDを使用した表皮細胞では用量依存的に生存率が上昇(1μMで5.0%、8μMで22.6%上昇)し、8μMの用量でアポトーシスが30.6%減少しました。

UVBは表皮細胞の細胞周期を乱しましたが(細胞分裂期が51.9%増加)、この変化もCBD使用により用量依存的に緩和(4μM:22.6%、8μM:29.9%、16μM:45.2%)。

UVBはDNAの損傷を示すマーカーであるγH2AXを5.3倍増加させた一方、CBDはこれらを減少させ(8μM:38.4%、16μM:53.4%)、同じくDNA損傷マーカーであるCPDsも減少させました(4μM:15.2%、8μM:17.0%、16μM:16.6%)。

さらにUVBによりROS(活性酸素:酸化ストレス)が1.7倍上昇するも、これもCBD(8μM)の使用により減少。UVBは酸化ストレスの制御に関連する転写因子であるNrf2の発現量を61.0%減少させ、Nrf2に負の作用をもたらす因子Keap1の発現量を30.3%増加させましたが、CBDはこれらの作用を打ち消し、Nrf2を増加させ(8μM:2.1倍、16μM:1.7倍)、Keap1を減少させました(8μM:20.7%、16μM:17.8%)。

また検証の結果、これらのCBDの保護作用にはオートファジーの活性化が関与していたことも明らかとなりました。

マウスによる検証

5日間に渡りマウスの背部にUVBを照射した結果、紅斑(赤み)が生じ、しわや鱗屑りんせつ(表皮の角質が塊となって剥がれ落ちること)が認められました。

一方であらかじめCBD5%を含有したクリームを使用したマウスでは、UVBを照射してもしわがみられず、紅斑や鱗屑も少なく、皮膚障害の重症度が低いことが示されました。

顕微鏡でマウスの背部を見てみると、対照のマウスでは表皮の肥厚、コラーゲンや弾性線維の変性が認められましたが、CBDクリームを使用したマウスではこれらの所見が少なくなっていました。

またUVB照射により、炎症を引き起こすCOX-2がマウスの皮膚と細胞質で高発現していましたが、CBDクリームを塗布したマウスではこれらが有意に少なかったことも明らかとなりました。

論文内には写真も掲載されているため、興味のある方はご参照下さい。

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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