大麻は中国発祥であると共に新系統の大麻を発見した研究結果を発表

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「自然の薬」「神への導き」「身を守る衣服」など人類は長きに渡り大麻と関わり、栽培、利用をしてきました。そして、ここ数十年の間世界的に禁じられ「悪のドラッグ」としてある日から突然タブー視される存在となりました。

昨今は、医療用途として嗜好品として大麻の存在を見直すムーブメントが世界で起こり、各国、各地域で法改正が行われています。

この1万年以上の期間で品種改良が行われ、合法化されてからは現代の技術によって更に品種改良が進み、何百種類もの大麻の品種が生まれています。

今回の研究はスイス・ローザンヌ大学(University of Lausanne in Switzerland)の進化生物学者であるルカ・フマガリ(Luca Fumagalli)氏が率いて各国の科学者が参加して行われ、研究結果は米国の科学誌「Science Advances」に7月16日に掲載されました。

 

世界中の大麻を集めゲノム解析

大麻がいつ、どこで栽培されていたかを解明するために、研究者たちは約4年の歳月をかけて世界中の110種類の大麻の品種を網羅的に収集。国際共同研究として、スイス、中国、インド、パキスタン、ペルーなどが協力しました。

 

約1万2000年前に中国で大麻栽培

集めた大麻のゲノム配列を解析した結果、大麻という植物は東アジアの現在の中国が原産地である可能性が高いことが分かり、約1万2,000年前には中国で大麻栽培が始まっていたことが示唆されました。

この論文が発表されるまでは、大麻の原産地は中央アジアであるという考えが主流でした。

研究者たちは、82の新しい大麻のゲノムの配列を決定し、すでに公開されている28の大麻のゲノム配列情報と組み合わせました。

バーモント大学(University of Vermont)の植物学者で医師でもあるジョン・マクパートランド(John McPartland)氏は、「分析のために1200万個のSNPを採取しました」と語りました。

SNP(一塩基多型)とは?

遺伝情報を担うDNAの塩基配列(A/T/G/Cの4種類の塩基による並び)は、人同士では99.9%が同じ配列ですが、0.1%配列に違いが存在しています。この違いにより、一人一人の姿形や能力等に違いが生じます。

生物種集団において、塩基配列の違いが全体の1%以上の頻度で出現しているとき、一塩基多型(いちえんきたけい、SNP : Single Nucleotide Polymorphism)と呼んでいます。

「以前までの研究では、大麻のSNPの分析は数千個であったため1,200万個のSNPを得て解析したことは驚異的なことです。」とマクパートランド氏は述べています。

このような過去の大麻研究にない莫大な遺伝情報を手に入れた研究チームは、ゲノムデータを解析して、世界中の大麻の進化を解明しました。

 

繊維用・カンナビノイド用と大麻系統が分岐したのは4000年前

第3の大麻の系統が見つかる

今回の研究の結果、約1万2000年前に中国北西部のカザフスタン、キルギスとの国境付近で大麻栽培を始めており、またその大麻は約1万2000年前に原種の大麻から分岐した可能性が高いとしています。

また、繊維用の大麻系統とカンナビノイド生産用に大麻系統が分岐したのは約4,000年前であることも明らかにしました。

この研究を行った研究者たちにとって、この結果は驚きでした。

「繊維用の大麻と、カンナビノイド生産用の大麻という2つの系統以外に、東アジアから独立した第3の系統が見つかるとは思いませんでした」と研究を率いたフマガリ氏は述べています。

今回発見された3つ目の系統は、現在栽培されている繊維用の系統やカンナビノイド用の系統とも違うが、野生ではなく人間が大麻の進化に何らかの手助けを与えていたことも分かりました。

膨大な数のゲノム解析をした結果、フマガリ氏と共同研究者たちは、純粋な原種である野生大麻はおそらく絶滅しただろうと結論付けています。

最初に栽培された基底型-Basal cannabis(黄)、繊維型-Hemp type(緑)、カンナビノイド型-Drug type(赤)、自生のカンナビノイド型-Drug type feral(青) (Luca Fumagalli, Science Advances(2021))

今回の論文では、一見すると世界を網羅した大麻収集が行われたように見えますが、コロラド大学(University of Colorado)の植物遺伝学者ノーラン・ケイン(Nolan Kane)氏によると、「大麻の栽培で有名なアフガニスタンや、広大な領土を持つロシアからのサンプルが含まれておらず、ロシアでは多くが大麻栽培をせず自生しているため、新たに見つかる可能性もある」と述べています。しかし、「本研究のゲノムデータは驚異的なリソースです。データをダウンロードして再解析したいと思います」とケイン氏は述べています。

東アジアは広大です。今回の研究結果を知り、意識して見るようになった東アジアの田舎地域の方が発見する可能性や他の地域で見つかる可能性もまだまだ残されています。

また、日本でも約1万2000年前の大麻の痕跡が福井県三方町の鳥浜遺跡から出土しており、日本と大麻はとても深い関わりがあります。それだけ深い関わりのある国が研究に関わっていないことは残念です。

日本も法改正を行い、様々な研究を進められるようになってほしいと願います。

今回発見された原種に近い第3の品種はどんな用途に使用できるかなど今後の研究が楽しみです。

石井 竜馬

麻マガジン創設者兼編集長。海外のヘンプ企業・医療用大麻企業に投資家として関わる。コロナ騒動を機に日本で山暮らし開始。標高1,000mの地で井戸を掘り、湧き水と共に農的暮らし。珈琲焙煎士でもある。ヨガ歴20年。

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