ブラジル最高裁、大麻の少量所持を非犯罪化

現地時間6月27日、ブラジル最高裁は個人使用目的での大麻所持に対する刑事罰を撤廃する判決を下しました。

この判決は数日以内に発効され、ブラジル国民は今後少なくとも18ヶ月間、40g以下の大麻を所持していても刑罰を科されることがなくなります。これに伴い、最高裁は議会と保健当局に対し、国民が所持できる大麻の量を恒久的に定めることを求めました。

ブラジルは2006年に個人使用目的での大麻の所持・栽培に対する罰則を緩和。これらの行為が発覚しても刑事罰が科せられることはなく、社会奉仕活動への参加など、軽い罰則が科せられるのみとなりました。

しかし、個人使用目的と判断できる具体的な量は規定されておらず、大麻の所持が発覚した場合、それが個人使用目的なのか密売目的なのかを判断するのは警察官の裁量次第となっていました。

法律アナリストによれば、数千人のブラジル国民が40g以下の大麻所持で実刑判決を受けています。その多くは黒人であり、警察官による取り締まりは差別的となっています。

2010年から2020年にかけてブラジル最大の都市サンパウロで行われた調査によれば、白人では個人使用目的と判断されたケースにおいて、黒人では31,000人が密売目的と判断され、有罪判決を言い渡されていました。

今回の判決は2009年に別の罪で服役中の55歳の男性が3gの大麻を所持していたことで開始された裁判に対し下されたもの。この男性の弁護士は大麻の個人使用に刑罰を科すことについて、憲法に違反すると訴えていました。

この歴史的な判決により、人口2億人を超えるブラジルにおいて受刑者数が大幅に削減される可能性がありますが、実際にどのような影響があるのかは不明。ブラジル議会はこの問題について立法府に委ねられるべきと考えており、ほとんどの議員は最高裁の判決に反対しています。

ブラジルは2015年に医療用大麻を合法化。標準治療で効果がない場合、医師は認可されたTHC0.2%以上の大麻製品を処方することができます。THC0.2%未満の大麻製品に関しては、より自由に処方することが可能です。

医療用大麻の自家栽培は認められていませんが、ブラジル裁判所は2022年、3人の患者・家族に対し、末期疾患及び慢性疾患の治療目的で大麻を栽培することを認めました。

南米では、コロンビアとベネゼエラも個人使用目的での大麻所持を非犯罪化しています。

アルゼンチンでは2009年、他人に危害を加えない限り、大麻を使用した個人に罰則を科すことは違憲であると最高裁が判決を下しました。これに伴う法改正は行われていませんが、大麻使用者は逮捕されたとしても、ほとんどのケースが裁判官によって棄却されています。

ウルグアイは2013年に世界で初めて嗜好用大麻を合法化した国となっています。