アルゼンチンで過去1年間に大麻を使用したことがある64,646名を対象に「第1回全国大麻使用者調査」が行われました。
調査の結果、アルゼンチンの医療用大麻使用者の98%が大麻成分を摂取することで症状の改善が見られたと回答し、75.5%が従来の薬をやめたことが明らかになりました。
この調査は、Revista THC、アルゼンチン大麻文化研究所(Cecca:Centro de Estudios de la Cultura Cannábica Argentina)、国立キルメス大学(Universidad Nacional de Quilmes)が調査を実施し「Expo Cannabis Argentina」で10月15日に調査結果が発表されました。
調査はアルゼンチンに住む16歳以上の人を対象に行われ、2020年11月11日から12月11日にかけて1ヶ月間で16歳から92歳までの24州すべての州、すべての性別、すべての年齢層、すべての所得レベルの合計64,646名から回答が得られました。通常、参考となる世論調査は選挙前の調査であっても2,000を超えることはほとんどないため、この数字は十分に多いことを伝えています。
参加者全体のうち、82.4%が嗜好目的、13.5%が自身の医療目的、3.7%が第三者の医療目的、0.4%がペットの医療目的と回答。
医療目的の使用者の98%が大麻成分を摂取することで症状の改善が見られたと回答し、75.5%が従来の薬をやめたことが明らかになりました。
また、嗜好目的で使用する人の約80%が「リラックスするため」「気分を良くするため」「体をリラックスさせるため」などの理由でした。
この回答は、医療用と同様に多くの嗜好目的の使用者が大麻を通じてウェルビーイングを得ようとしていることが分かります。
大麻の入手方法は、75%が自身での栽培以外の方法で大麻を入手しているにも関わらず(購入48.2%、贈与17.2%、集団栽培8%)、90%が自身での栽培を希望していることが分かりました。
自身での栽培を諦めた理由として72.9%の人が、近所や家族とのトラブルを恐れていることを挙げています。また、他には「場所がない(9.8%)」「種がない(9.7%)」「知識がない(7.6%)」と回答がありました。
医療用として使用する人は自身での栽培が多く、栽培を行うのは男性の割合とX世代(40〜54歳)の割合が多いことが分かりました。また、違法市場での購入はミレニアル世代(25〜39歳)と高齢者に多いことが分かりました。
使用頻度については、年齢が高くなるほど、また医療目的の場合には高まることが分かり、高齢者では10人に8人が毎日使用、医療目的では10人に5人が毎日使用することが分かり、嗜好目的で毎日使用する割合は38.3%でした。また、ミレニアル世代(25〜39歳)の20%が月に1回または年1回の使用と回答しました。
また、参加者のうちの98.9%がニュアンスの違いはありますが大麻の禁止に反対しています。
・すべての違法薬物の合法化に賛成する人(31%)
・大麻の合法化にのみ賛成する人(38.9%)
・禁止は間違っているがまずは教育などの面から進めなければならないと考える人(28.9%)
アルゼンチンでは、2017年に医療用大麻を合法化。2020年には、ライセンス保持者に限って医療用大麻を自宅で栽培することを認めています。
しかし、嗜好目的の栽培、所持、販売は違法としています。違法ではあるものの、2009年にアルゼンチンの最高裁判所は、少量のマリファナを所持していたところを逮捕された5人の判決(アリオラ判決と呼ばれている)で「公序良俗に反したり、第三者を傷つけたりすることのない人間の私的行為は、神によって許され、裁判官の権限から除外される。個人的な薬物使用を罰することは、国の憲法第19条に反するとして「大麻取締法は違憲」である」と判断しました。2009年の最高裁での判決後、法律が改正されることはありませんでした。そのため、法律上では違法のままです。