ジンバブエ、ヘンプのTHC制限値を0.3%から1.0%へ引き上げ

ジンバブエ、ヘンプのTHC制限値を0.3%から1%へ引き上げ

/

アフリカ大陸南部の内陸にある国、ジンバブエ共和国。

ジンバブエの大麻の歴史は古く、古代ではハーブを意味する「gwenzi」と呼ばれ、心を豊かにするものとして知られていました。医療用としててんかんなどに対し用いられたりもしたようですが、宗教的儀式や、男性が仕事や戦いにおいて自信や活力を得るためなど、主に「精神活性目的」で使用され、繊維など産業用としての歴史はあまりなかったようです。

そんなジンバブエは2018年に、アフリカ大陸において2番目に医療及び研究用途の大麻の栽培と輸出を合法化(1番目は2017年に合法化したレソト王国)。ライセンスは翌年から発行しています。

ジンバブエは元々アフリカ最大のタバコ生産国でしたが、世界的な禁煙キャンペーンに伴い需要が減少したため、タバコ市場が縮小。このような経済的背景があり、タバコに替わる新たな収入源として、大麻の生産と輸出を推進するようなりました。

しかし、ジンバブエの大麻政策はまだ発展途上にあります。輸出用に大麻の栽培を合法化していますが、国内で大麻は危険ドラッグ法にて違法とされています。臨床試験にのみ限定し医療用大麻の使用が可能となっているようですが、患者の承認基準など具体的な部分ははっきりしていません。

2022年7月には、認可された事業者は、分析証明書などの書類を提出して医薬品管理局から承認を得ることで、CBD製品を販売できるようになっています。

このような流れの中で今回、新たな法改正がなされました。これまではアメリカと同様、THC0.3%以下の大麻(ヘンプ)の栽培が可能となっていましたが、今後はTHC1%までの大麻を栽培できるようになります。

この改正法では、ヘンプについての法的定義も導入。これによれば、ジンバブエにおいてヘンプとは「THC濃度1%以下のカンナビス・サティバ・エルとその種子を含むあらゆる部位、全ての誘導体、抽出物、カンナビノイド、異性体、酸、塩、異性体の塩」とされています。

同時にこの改正法は、ヘンプを危険ドラッグリストから外すことも提案しています。

THCの制限値が緩和されたことにより、ヘンプ農家は栽培する大麻株の選択肢が増えることになります。THCを含んだフルスペクトラムCBDでアントラージュ効果が期待されるように、より魅力的な製品の生産が可能となり、国内外の幅広い市場に対応することができるようになります。また、ヘンプが危険ドラッグリストから外れれば、より国内の市場が拡大すると予想されます。

国際金融機関であるBarclaysのアナリストによれば、世界の大麻産業は2028年までに2720億ドル(約36兆2435億円)規模になる可能性があるとされており、ジンバブエ財務大臣であるMthuli Ncubeはこのうち少なくとも10億ドル(約1,332億円)はジンバブエで確保したいと語っています。

ジンバブエの気候は大麻の栽培に適していると言われており、ここ数年のジンバブエの大麻改革は、アメリカ、イギリス、ドイツ、スイスなどの投資家を惹きつけています。

2022年5月には、スイスバイオシューティカルズ(Swiss Bioceuticals)により、医療用大麻の生産を目的とした2,700万ドル(約36億円)相当の農場と加工工場が建設され、操業が開始されています。

High Times Magazine「Zimbabwe Increases Hemp THC Limit to 1%」https://hightimes.com/news/zimbabwe-increases-hemp-thc-limit-to-1/

The Zimbabwe Independent「Zim sets cannabis THC limit at 1%」https://www.theindependent.co.zw/agriculture/article/200007075/zim-sets-cannabis-thc-limit-at-1

High Times Magazine「Zimbabwe Will Repeal Laws Banning Cannabis Cultivation」https://hightimes.com/news/zimbabwe-will-repeal-laws-banning-cannabis-cultivation/

High Times Magazine「Zimbabwe OKs First Medicinal Cannabis Sales」https://hightimes.com/news/zimbabwe-oks-first-medicinal-cannabis-sales/

Business Insider Africa「President of Zimbabwe commissions U.S.$27 million medicinal cannabis farm and processing plant」https://africa.businessinsider.com/local/markets/president-of-zimbabwe-commissions-usdollar27-million-medicinal-cannabis-farm-and/mx3g6fg

Reuters「Zimbabwean farmers hope for whiff of cannabis boom」https://www.reuters.com/world/africa/zimbabwean-farmers-hope-whiff-cannabis-boom-2022-05-11/

Voice of America「Cannabis-Growing Gathers Momentum in Zimbabwe」https://www.voanews.com/a/africa_cannabis-growing-gathers-momentum-zimbabwe/6208033.html

Mugglehead Magazine「3 years after legalization, Zimbabwe’s medical cannabis market yet to leave the gates」https://mugglehead.com/3-years-after-legalization-zimbabwes-medical-cannabis-market-yet-to-leave-the-gates/

CANNAVIGIA「CANNABIS COUNTRY REPORT ZIMBABWE – HOW TO GET A LICENCE [FREE GUIDE]」https://cannavigia.com/cannabis-country-report-zimbabwe-how-to-get-a-license

Celebrating Being Zimbabwean「The history of cannabis in Zimbabwe」https://www.thepatriot.co.zw/old_posts/the-history-of-cannabis-in-zimbabwe/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

Recent Articles

イギリス、ヘンプの栽培規制を緩和

4月9日、イギリス政府は経済的・環境的可能性を最大限に引き出すため、ヘンプの栽培規制を緩和することを発表。この新たな規制は2025年の栽培シーズンより施行されます。 イギリスにおいてヘン...

マラウイが高THC大麻の栽培を承認

マラウイ共和国の議会は、認可された栽培業者が輸出を目的とし、THC濃度の高い国産大麻を栽培することを承認しました。 アフリカの南東部に位置するマラウイはタバコの主要な生産国であり、国...