アーカンソー州、医療用大麻患者が銃を所持する権利を保護

米国連邦法で大麻使用者による銃の所持が禁止されている中、アーカンソー州の医療用大麻患者及びその介護者は、8月1日より銃の携帯許可証を所持することが可能となりました。

アーカンソー州では2016年の住民投票により医療用大麻合法化法案が可決され、2017年より州憲法の改正に伴い医療用大麻が合法となっています。

今回施行された法案「HB1784」は、今年4月に州議会において賛成多数で可決され、その数日後に州知事が署名したものです。同法では、州内で銃の携帯許可証が発行される資格があるかどうかを判断する際に、医療用大麻患者であることを判断材料にすることはできないと規定。

また、医療用大麻患者及びその介護者であることは、規制薬物の慢性的または常習的な使用者であることを意味しないことを明確にしています。

同法案を提出した共和党下院議員のアーロン・ピルキントン（Aaron Pilkington）氏はKATVの取材に対し、「修正98条（医療用大麻合法化法）には、医療用大麻を所持していることを理由に、患者の権利や特権が侵害されるべきではないという文言がありました。しかし、これは銃の携帯許可証には適用されていませんでした」

「連邦法の規定には問題と懸念がありました。しかし、現在連邦法は患者の状態に基づいて銃の権利を制限すべきではないと定めており、オピオイドであれ他の処方箋であれ、銃の携帯許可証の所持を禁止することはできません」と語りました。

連邦政府の規定では、大麻を使用していることが明らかとなった場合、たとえそれが医療用途であったとしても、銃を購入する資格を失うことになっています。嘘をつきそれが発覚した場合、最大で禁固5年の刑に処されます。

なお、連邦法執行機関である「アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局（ATF）」は、今年5月にミネソタ州で嗜好用大麻の合法化法案が成立した際、大麻使用者による銃の所持・購入は連邦政府によって禁止されていることを強調する警告を発しています。

このような中、アメリカではここ1年間で、大麻使用者における銃の権利に関する裁判が数件行われています。

今年2月に連邦地方裁判所の判事パトリック・ウィリック氏（Patrick Wyrick）は、オクラホマ州で銃と大麻の所持が発覚した男性に対する起訴を棄却。ウィリック氏は「大麻使用者＝徳のない危険な人」と判断する政府の見解に対し、「大麻の使用のみでは暴力的・脅迫的行為は伴わず、大麻使用者が必然的にそのような人であると判断されることはない」と述べ、大麻使用者において銃の所持を禁止することは「違憲である」と明言しました。

これに対し連邦司法省は不服とし、控訴しています。