近年、世界で二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」と植林や森林管理などによる「吸収量」を差し引き合計でゼロにする「カーボンニュートラル」が注目され、日本においても2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことが政府によって宣言されています。
石炭や石油、天然ガスなどの炭素(C=カーボン)を含む化石燃料を燃焼してエネルギーを得ている現代社会。そのエネルギー生成過程において、炭素(C)は酸素(O2)と結合し二酸化炭素(CO2)となり大気中に放出されます。このCO2をはじめとした温室効果ガスの増加が昨今の気候変動、各地で自然災害が多発するなどの大きな要因として考えられ、「脱炭素社会」を目指すことが世界の潮流となっています。
そんな中、南米の国パラグアイでは、政府が推進している10万ヘクタールのヘンプ栽培によって、この地域での最初のカーボンニュートラル国になる可能性があるとFOCOが10月14日に報じています。
パラグアイでは2019年から農牧省(MAG:Ministerio de Agriculturay Ganaderi′a)によって産業用大麻(ヘンプ)の栽培が導入され、今年は初めて輸出もされました。
パラグアイ農牧省のサンティアゴ・ベルトーニ(Santiago Bertoni)大臣は、次の収穫期には約600ヘクタールの栽培を計画しており小規模生産者や産業界と連携して、製品化や商業化プロセスを改善すると述べています。
また、アスンシオン国立大学(UNA)が海外の大学の協力を得て行った研究によると、大麻には大気中の炭素を大量に取り込む能力があるという非常に重要な特性があり、政府が計画している10万ヘクタールの栽培を実現すれば、パラグアイで発生する温室効果ガスをすべて吸収しカーボンニュートラルな国になるとベルトーニ大臣は強調し伝えています。
パラグアイのマリオ・アブド・ベニテス(Mario Abdo Benítez)大統領は、「ヘンプは非常に抵抗力の強い植物であり年に3回の収穫が可能なことから、小規模生産者が他の作物とは比較にならない収入が得られる」と評価しています。