東南アジア原産のコーヒー科の植物である「クラトム(Kratom)(日本での省令名:ミトラガイナ・スペシオーサ)」について、解禁派・規制派で論争が起こっていました。
処方箋オピオイドに代わる安全な天然の鎮痛剤としての痛み止めや薬物中毒の治療なのか、中毒性のあるドラッグなのかです。
国連機関である世界保健機関(WHO)が、科学的検証の結果、クラトムの批判的なレビューを推奨しないと発表しました。これによって現時点では、国際的な禁止勧告は事実上終了します。
12月1日にWHOの依存性薬物専門家委員会(ECDD:Executive Committee on Drug Dependency)が発表した書面はこちら(英文)
今年7月WHOは、10月のECDD第44回目の会合でクラトムを批判的に検討すると発表していました。
その後、米国食品医薬品局(FDA)は、米国民からクラトムについてのパブリックコメントを募集。そこには、7万件を超えるパブリックコメントが提出され、そのほとんどはクラトム禁止勧告に反対するものでした。
10月には、フロリダ大学のクリストファー・マッカーディ(Christopher McCurdy)博士や、ドイツの毒物学者でありハームリダクションの提唱者であるファビアン・ピッター・スタインメッツ( Fabian Pitter Steinmetz)博士など複数の科学者がECDDで、クラトムやクラトムの成分の規制物質リスト化に反対する証言を行いました。スタインメッツ博士は「この機会にWHOに薬物政策は馬鹿げていると伝えました。もしクラトムを禁止するとしたら、さらに馬鹿げたことになるでしょう」とクラトムサイエンス誌に語っています。
東南アジアの国タイでは、今年8月にクラトムを合法化しています。
source kratom Science