ネパール、医療用大麻の栽培を検討へ

ネパール、医療用大麻の国内栽培を検討へ

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5月29日、ネパールのプラカシュ・シャラン・マハト(Prakash Sharan Mahat)財務大臣は、連邦議会の合同会議で2023年度の予算について発表。この演説の中で、マハト大臣は医療用大麻の栽培について検討すると発言しました。

実際にこの予算の中では、ネパール国内における医療用大麻栽培の実現可能性について調査するための資金が割り当てられているとマハト大臣は述べています。

ネパール(ネパール連邦民主共和国)はインドと中国のチベット自治区に接した南アジアの内陸国で「世界の屋根」とも呼ばれるヒマラヤ山脈、そしてその中にある世界最高峰の山「エベレスト」がある場所としても知られています。信仰宗教は多様ですが、主にヒンドゥー教(約8割)が広く信仰されています。

ヒマラヤ山脈の中央に位置するネパールは、大麻の栽培に適した気候となっており、大麻に関しては長い歴史を持っています。アーユルベェーダで医療用として活用されたり、ヒンドゥー教の破壊神シヴァを称える「マハ・シバラトリ祭」では、サドゥー(ヒンドゥー教徒)によって広く使用されてきました。

1960〜1970年代前半では、ネパールの首都カトマンズで、認可を受けたディーラーがハシシ(大麻樹脂)を販売していました。この場所は「フリーク・ストリート(Freak Street)」と呼ばれ、ここには世界各地から多くのヒッピーが集まっていました。

しかし、アメリカの「麻薬戦争」による圧力を受け、ネパールでも1976年に麻薬取締法が制定され、大麻が禁止に。現在もそれが維持された状態となっています。

産業用大麻に関しては、政府から許可を得た場合に限り、特定の条件・場所でTHC0.2%までの大麻の栽培が可能。医療用大麻に関しては「必要とされる場合において、必要量の使用が認められる」とされていますが、具体的な枠組みはなく、CBDを含め、実質ほとんど違法となっています。

このような中、2020年にネパール議員らは大麻の合法化を推進する法案を提出し、現在も審議を行っています。この法案は、嗜好用大麻よりも医療用大麻に主眼を置いたもの。中央及び地方に規制当局を設置し、ライセンスのもとで大麻の栽培、加工、販売を合法とし、また、個人宅における6株までの大麻栽培も可能としています。

これについて昨年、当時の保健大臣であるビロード・カティワダ(Birodh Khatiwada)氏は「我々のような貧しい国が大麻を麻薬として扱わなければならないのは、正当化できません」「私たちの国民は罰せられています。そして、好き勝手にやっている先進国の決定に従っているために、密輸による汚職が増えています」と述べています。

The Himalayan Times「National Budget: Govt to study prospect of marijuana farming for medicinal purposes」https://thehimalayantimes.com/nepal/national-budget-govt-to-study-prospect-of-marijuana-farming-for-medicinal-purposes

Benzinga「Honoring Tradition: Nepal Government To Study Marijuana Cultivation For Medical Purposes」https://www.benzinga.com/markets/cannabis/23/05/32622386/honoring-tradition-nepal-government-to-study-marijuana-cultivation-for-medical-purposes

Nepalnews「Feasibility study to be conducted for cannabis farming」https://www.nepalnews.com/s/health/feasibility-study-to-be-conducted-for-cannabis-farming

NDTV「Nepal Seeks To End Marijuana Ban After Half A Century」https://www.ndtv.com/world-news/nepal-seeks-to-end-marijuana-ban-after-half-a-century-2931109

Sensi Seeds「Cannabis in Nepal – Laws, Use, and History」https://sensiseeds.com/en/blog/countries/cannabis-in-nepal-laws-use-history/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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