カンナビノイドとは、大麻(カンナビス)に含まれる化学物質の総称。
THC(テトラヒドロカンビノール)、CBD(カンナビジオール)という現在最も知られているカンナビノイドを始め、CBN、CBG、CBC、CBDA、THCA、THCVなど100を超える異なるカンナビノイドが大麻には含まれています。
また、大麻を摂取しなくとも人体で生成されるアナンダミドや2-AGというエンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)もあります。
カンナビノイドの種類
・エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)
人間の体内で作られる
・植物性カンナビノイド(外因性カンナビノイド)
麻の成分として含まれる
・合成カンナビノイド
化学的に合成して作られる
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カンナビノイドの働き
ホメオスタシス(恒常性維持)という働きが人体には備わっています。ホメオスタシスとは、身体を適切な一定の状態に保とうとする働きのことです。体内の異常を察知するとエンドカンナビノイドシステムが作動し、身体を適切な状態に戻す働きをします。
カンナビノイドはエンドカンナビノイドシステムの働きに欠かすことのできないものであり、体内にカンナビノイドが存在していなかったら人間は健康な状態を維持することができません。
カンナビノイドは多くの数が存在し、CBDやTHCといった有名な成分も含有する多くの中の一つのカンナビノイドです。そして、この一つ一つのカンナビノイドは同時に摂取した時にだけ特定の効果を発揮したり、同時に摂取することで個々の効果が増大する「アントラージュ効果」があるとする考え方もあります。
以下に代表的な大麻由来カンナビノイドの一覧をご用意しております。
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代表的なカンナビノイド一覧
CBC
Cannabichromene(カンナビクロメン)
大麻に一般的に1%未満の濃度で含まれているマイナーカンナビノイドの一つ。
CBCは人々をハイにさせるカンナビノイドではありません。これは、精神作用をもたらす受容体に結合しないためです。
CBCは痛みを和らげる受容体に結合し、脳内に自然な抗うつ物質を放出します。また、CBCはアントラージュ効果をもたらすカンナビノイドの1つでもあります。つまり、CBCは他のカンナビノイドの働きを助ける効果があります。
CBCだけでも、痛みや炎症の軽減、うつ病改善、脳の健康促進と様々な働きをします。CBCにはガン細胞の増殖を防ぐ役割があるのではと現在ガンの分野でも研究されています。
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CBD
Cannabidiol(カンナビジオール)
1960年代初頭、Dr. Mechoulam(メクラム博士)は、大麻のどの成分が人をハイにさせるのか研究を始め、彼が最初に発見したカンナビノイドがCBD。
ハイになる成分THCのことばかりが語られてきましたが、ここ数年、CBDの医療効果、健康効果が注目され、CBDの人気が高まっています。THCが精神作用をもたらすのに対し、CBDには精神作用はなく、無害なリラックス効果をもたらします。THCとCBDは、大麻に含まれるカンナビノイドの中で最も高い濃度で含まれているため、THCとCBDの比率に基づいてマリファナを選んだりもします。現在では、CBDを多く含むマリファナやヘンプから作られたCBDオイルなどが販売されています。海外製品では花や葉からCBDを多く抽出しますが、日本国内では茎と種子のみが合法となっていることから、茎と種子のみを使用しているCBD製品が合法大麻製品として日本で販売されています。
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CBDA
Cannabidiolic Acid(カンナビジオール酸)
CBDAは、CBDが「CBDになる前の状態」とされています。
CBDAはどのようにしてCBDになるのか?
脱炭酸という加工プロセスによってCBDAからAcid(酸)が除去されCBDになります。このプロセスに必要なことは、加熱です。脱炭酸した大麻は茶色になりこのプロセスによってカンナビノイドの健康効果を得ることができます。最も簡単な方法は大麻に火をつけて吸うことです。
CBDAは、CBDが多く含まれるように品種改良されたマリファナや、ヘンプに多く含まれています。
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CBG
Cannabigerol(カンナビゲロール)
CBGには精神作用はありません。CBGは、CB1受容体に結合するTHCの精神作用を阻害する作用があり、脳内のCB1およびCB2受容体と密接に関係します。それによって、疾患を治癒する時には相当量のTHCが必要ですが、THCには治癒効果だけでなく酩酊感が伴います。CBGはその部分を助けると考えられています。また、緑内障や大腸ガンなどをCBGで治療する可能性が研究されています。
主要カンナビノイドであるTHCとCBDには、THCAとCBDAという前駆体(その物質になる前の状態のこと)が存在し、脱炭酸(加熱)プロセスによってAcid(酸)が除去されTHCとCBDになります。
ですが、THCAやCBDAにも前駆体が存在します。それが、CBGの前駆体でもあるCBGAです。CBGAがTHCA、CBDA、CBCAに変化します。
大麻は成長サイクルの始めの段階では、酸性カンナビノイドを豊富に含んでおり、CBGAから始まります。そして、成熟した大麻になった時にはすでにCBGAの大部分は変化し次のカンナビノイドの状態になっており、1%未満となっています。
CBGを得る為には若い状態で大麻を収穫、または大量の大麻が必要となるため、CBGを抽出するための大麻の品種改良の研究もされています。
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CBN
Cannabinol(カンナビノール)
CBN(カンナビノール)の中には、大麻にもともと含まれているCBNAに由来するものもありますが、多くはTHCAが分解してできるものです。
THCAが酸化すると、CBNAに変わります。つまり、この化合物は古い大麻によく含まれています。他のカンナビノイドと同様に、CBNAも脱炭酸(加熱)によって “Acid(酸) “が除去され、CBNになります。
CBNはカンナビノイドの中ではマイナーな存在ですが、非常に大きな健康効果を持ちます。CBNは痛みを和らげたりするなど、THCと同じような薬効を発揮します。
CBNとTHCの違いは、CBNにはTHCのような精神作用が少なく、薬効を発揮します。CBNは最も強い鎮静作用を持つカンナビノイドです。
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THC(Δ9-THC)
Tetrahydrocannabinol(テトラヒドロカンナビノール)
人々に多幸感を与え、そして、ハイにさせるカンナビノイドです。
Dr. Mechoulam(メクラム博士)がCBDを発見したとき、大麻の精神作用を解明するために彼はTHCを探していました。CBDを分離した1年後、ついにTHCを分離し、THCが身体や脳に与える影響を研究できるようになりました。
それ以来、THCは研究と論争の的となっています。THCは、精神作用のために多くの国で禁止され、また一方で、様々な疾患に働き治癒することが分かっています。
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Δ8-THC
Delta-8 THC(デルタ8THC)
通常、THCと呼んだ場合は、Delta-9 THC(デルタ9THC)のことを指します。
デルタ8THCは、多幸感、幸福感、鎮静、症状の緩和などを引き起こし、精神活性作用があり、ハイになるデルタ9THCに効果効能が非常によく似ていますが、効力はデルタ9THCよりも低いとされています。
ハイにならないCBD、ハイになるデルタ9THC、その中間のデルタ8THCと言われたりもしています。
デルタ8は、まだ広く研究されておらず、心と体への影響については今後の更なる研究が必要です。
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THCA
Tetrahydrocannabinolic Acid(テトラヒドロカンナビノール酸)
加工前の大麻には、THCはほとんど含まれておらず、代わりにTHCの前駆体(その物質になる前の状態のこと)であるTHCAが含まれています。
THCAは脱炭酸(加熱)し、THCにならないと精神活性作用を得ることはできません。
THCAは精神作用をもたらすカンナビノイド受容体に結合することはできませんが、脳や体中の受容体を刺激する効果があり、THCAの抗けいれん作用について研究されています。また、抗炎症作用、食欲増進、吐き気の抑制などにも役立つと考えられています。
THCV
Tetrahydrocannabivarin(テトラヒドロカンナビバリン)
THCVの分子構造はTHCに似ていますが、この2つのカンナビノイドの効果は大きく異なります。
THCVはマイナーなカンナビノイドであり、ほとんどの大麻には高濃度で含まれていません。しかし、THCVを分離して研究すると、食欲を抑えたり、抗炎症作用があったり、不安感を和らげたりするなど、非常に興味深い効能が分かってきました。まだ実際の医療には使用されていませんが、研究結果が期待されています。
THCVが精神作用を持つかどうかについては、まだ詳しく分かっていませんが、高用量では酩酊感をもたらし、低用量では頭がすっきりした状態になるという研究結果が出ています。
One love, one heart.
Let’s get together and feel alright.
Bob Marley
ひとつの愛、ひとつの心。
みんなで一つになれば、いい気分になれるさ。
- ボブ・マーリー