カナダ保健省がCBDの取扱いに関する規制緩和を提案

カナダ保健省がCBDの取扱いに関する規制緩和を提案

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医療目的及び嗜好目的の両方で大麻の使用が国レベルで合法化されているカナダですが、CBDの取り扱いに関しては日本やアメリカと比べると強い規制が敷かれています。

CBDには精神活性作用がなく安全性が高いと考えることが一般的となっておりアメリカや日本では雑貨店や食料品店などで販売されています。しかし、カナダではCBDを含む全てのカンナビノイドがTHCなどの精神活性作用があるカンナビノイドと同列に取り扱われているため、カナダではCBD製品の場合でもディスペンサリー(大麻販売店)でしか購入する事ができません。

また、輸出入において例えCBDであっても、カンナビノイドは医療目的及び研究目的でしか行う事ができません。

その様な状況によりカナダのカンナビス企業はグローバル展開する機会を失い続けていましたが、ようやくカナダ保健省(Health Canada)内の委員会によってCBDを含む健康食品に関する新たな報告書が発表されました。

9人の専門家からなるこの委員会が、医療専門家の処方箋を必要とせずにCBDを含む製品の購入を可能にする事を検討し始めたのは2019年なので、実質3年間の議論を経たことになります。

実際にこの報告書通りに進むかはまだ定かではありませんが、長い年月をかけて作られたこの提案は、今までの取り扱い方とは一線を画すもので、ついに動きだしたこの事態に対して、カナダ国内では多くのカンナビス企業から熱い視線が注がれています。

しかし、リサーチとしてはCBDがどの様に体内に吸収されるかなど全てを網羅しきれていないため、委員会の提案は経口接種にのみ適用する事を推奨しています。

提案 ①

The committee unanimously agrees CBD is safe and tolerable for short-term use (a maximum of 30 days) at doses from 20 milligrams per day (mg/day) to a maximum dose of 200 mg/day via oral administration for healthy adults, provided they discuss the use of all other medications and substances used with their pharmacist.

委員会は、健康な成人の場合、1日20mgから最大1日200mgの用量でCBDを短期使用(最大30日間)しても安全であり、他の薬との併用については薬剤師と相談すれば良いことに満場一致で同意しています。

提案 ②

The committee strongly recommends that all health products containing CBD should carry statements on potential interactions between CBD and other drugs or alcohol, and should not be used for individuals who are pregnant, lactating, or considering pregnancy, or people with allergies or hypersensitivity to cannabis, cannabinoids, or other components of the manufacturing process.

委員会は、CBDを含む全ての製品に、CBDと他の薬物やアルコールとの相互作用の可能性について記載し、妊娠中、授乳中、妊娠を検討している人、大麻の成分や製造過程で発生する成分に対してアレルギーや過敏症を持つ人には使用しないよう強く推奨しています。

It is also strongly recommended that a warning be prominently placed on the product label and insert which states that due to the potential of harmful effects of CBD products on fetal development, this product should not be used by individuals who are pregnant, considering pregnancy or breastfeeding.

また、CBD製品が胎児の発育に有害な影響を与える可能性があるため「本製品は妊娠中、妊娠を検討している人、授乳中の人には使用しないでください」という警告を製品のラベルや折り込みチラシに目立つように記載することを強く推奨しています。

提案 ③

The committee recommends that packaging for health products containing CBD should have clear dosing instructions and warnings of potential side effects, emphasizing that side effects can be worse at higher doses.

委員会は、CBDを含む全ての製品のパッケージに、明確な服用方法と潜在的な副作用の警告を記載することを推奨しています。また副作用は高用量でより悪化する可能性があることを強調しています。

提案 ④

CBD is not habit forming, however, the committee recommends that health products containing cannabis should carry a warning to clarify they are not intended to help reduce consumption of opioids or alcohol as there are no definitive studies that have validated its use for those indications.

CBDには習慣性や中毒性はありませんが、適応症に対する使用に関する研究が十分ではないことから、それらの製品はオピオイドやアルコールの消費を抑えることを目的のためには作られていないという事を明確にする警告を表示するよう推奨しています。

提案 ⑤

The committee recommends that the approval of health products containing CBD should be accompanied by public education to explain possible benefits and risks, information on safety, and on gaps in research knowledge around the non-prescription use of CBD.

委員会は、CBDを含む製品の承認には、効果やリスク、安全性に関する情報ついて人々が理解できる様な公教育が伴うべきであると勧告しています。

また、委員会は ”ストレスや緊張の軽い症状の緩和” “睡眠改善” “痛みの軽減” のためのCBD使用という事にも焦点を当て検討しました。

その結果、CBDがストレスや緊張を短期的に改善させるという初期のエビデンスに全会で一致しました。しかし睡眠を改善したり、痛みを軽減するということを証明するエビデンスは十分ではないことにも同意しています。

提案 ⑥

The committee recommends that: Labels on health products containing CBD should encourage consumers to report adverse reactions that result from using the product by offering multiple, easy-to-use reporting options.

委員会は、消費者がその製品を使用し副作用が生じた場合、報告することを奨励する内容をラベルに記載する事を推奨しています。

All platforms and resources for reporting adverse reactions should be designed to ensure equitable access for the wider Canadian community. Health products with CBD should be packaged in boxes, so an insert with key details on the product can be included with every sale. Consultation with a pharmacist should be encouraged if taking other medications; therefore health products containing CBD should only be available in pharmacies.

CBDの副作用を報告するためのプラットフォームはカナダにある多くのコミュニティーが公平にアクセスできる様に設計されるべきです。また、商品の重要な情報を記載した説明書を同封するために全てのCBD製品は箱に入れて販売する事を推奨しています。また他の薬を服用している場合、薬剤師に相談する事を勧めており、そのため販売は薬局で行う事を推奨しています。

動物医薬品委員会

2021年1月、同目的で動物医薬品委員会が結成されました。報告書内では猫より犬に対する研究が多いため、ここでは犬に対する推奨事項のみを記載しています。

提案 ⑦

Among the evidence available for CBD use in companion animals, subcommittee members agreed that there was only sufficient safety evidence for CBD use in dogs. Specifically, when administered at very low doses between 0.2-2mg/kg orally twice daily.

安全性に関する十分な証拠は犬に対してしかなく、またそれは0.2~2mg/kgのごく低用量で1日2回経口投与された場合のみであると述べています。

具体的には犬の変形性関節症に伴う痛みの治療に対するCBDの有効性に関するリサーチで、処方には獣医師による確定診断を伴うべきであるということに合意しています。

提案 ⑧

Subcommittee members agreed there was sufficient evidence regarding the efficacy of CBD for the treatment of pain associated with osteoarthritis in dogs, however insufficient information to recommend a specific dose.

犬の変形性関節症に伴う痛みの治療に対するCBDの有効性に関する十分なエビデンスがあることに同意したが、特定の用量を推奨するには情報が不十分であったと述べています。

人間に対する警告と同様、委員会は製品を箱に入れて販売し、服用方法の詳細やその他の注意事項を記載した折り込み紙を付けることを推奨しています。また、ラベルには獣医師が動物を診断しCBDの使用可能性(利点とリスクを含む)について飼い主と話し合った場合にのみ製品を使用するよう記載すべきであると述べています。ラベルには相対的な禁忌を示すべきであり、肝機能障害や重度の心臓病のある犬には使用すべきではないこと、繁殖中、妊娠中、授乳中、仔犬には使用すべきではないことに留意しました。

提案 ⑨

The subcommittee recommends that any CBD product that is intended only for dogs should have a confirmed diagnosis of osteoarthritis from a veterinarian.

犬のみを対象としたCBD製品は、獣医師による変形性関節症の診断が確認されていることが望ましいと勧告しています。

Until more safety and efficacy information becomes available, pet-owners should consult a veterinarian prior to administering CBD to their pets.

さらに研究が進み、より多くの安全性と有効性の情報が得られるまで、飼い主はペットにCBDを投与する前に獣医師に相談する必要があります。

人の使用に関する考慮事項

人の様々な病気に対するCBDの使用については、まだまだ研究が必要であると委員会は指摘しています。

提案 ⑩

The committee recommends that high-quality clinical research into the safety and efficacy of cannabis, CBD and other phytocannabinoids, should be further supported by governments and funding agencies.

大麻やCBDなどの植物性カンナビノイドの安全性と有効性に関する質の高い臨床研究が、政府などにさらに支援されるべきであると勧告しています。

また、委員会は、CBD 製品に関する研究や調査はまだかなり限られているため、CBD クリームや軟膏など、異なる投与経路についてはより多くの情報が必要であることを指摘しました。

また、上記の提案はCBD業界に関わる全ての人にとって朗報とは言えず、業界はさらに進んだ規制緩和を期待していた可能性があると指摘していますが、安全性や入手のしやすさとのバランスを考慮する必要があったと述べています。

While our goal is to support consumer access to safe products, we also need to consider knowledge gaps and public health risks. The recommendations provided are based on the scientific evidence available at the time of the committee’s review and will evolve as the information on CBD continues to develop. We strongly encourage Health Canada to review these recommendations on a regular basis as further high-quality research is conducted on cannabis for health indications and as experience is gained on the use of health products containing cannabis in Canada and internationally.

委員会としての目標は、消費者が安全にアクセスできる環境を作り上げる事ですが、公衆衛生上のリスクも考慮する必要があります。この勧告は科学的証拠に基づいており、さらにCBDに関する情報が増え続けるにつれて更に良いものになっていくでしょう。 大麻の人体や健康への影響ついてさらに質の高い研究が行われ、カナダ国内および国際的に大麻やCBDなどカンナビス製品を使用した事がある人が増えるにつれて、これらの勧告を定期的に見直すことを強く推奨します。

Shinji

カナダ在住。大麻メディア兼大麻関連事業コンサルティング「カンナビス・ジャパン・セントラル」の創設者。同社は日本を拠点とするCBD企業と国際的なパートナーや投資家のネットワークとしても機能する。

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