全米初　シロシビン生産ライセンスをオレゴン州が企業へ付与

2020年、米オレゴン州は住民投票により、サービスセンターにおけるシロシビンの個人使用を合法化し、少量の薬物所持を非犯罪化する法案を可決。しかし、シロシビンの個人使用に対する具体的な規制は確立せず2年が経過した後、2023年1月1日より具体的な規制が実行に移され、シロシビンの個人使用が全米で初めて合法となりました。

マジックマッシュルームに含まれていることで知られているシロシビンは、うつ病、PTSD、終末期における不安など、精神疾患を中心に有効性が期待されているサイケデリクス（幻覚剤）です。しかし、この法案では疾患の有無に関らず、21歳以上の成人であれば誰でも、サービスセンターにおいて、トレーニングを受けたファシリテーターの元でシロシビンの使用が可能とされています。

このような流れの中で3月22日、サービスセンターで使用するシロシビンを生産するためのライセンスが、全米で初めて付与されました。なお、研究目的でのシロシビンの生産に関しては、DEA（米国麻薬取締局）の認可を受けた研究施設においてすでに認められています。

今回ライセンスが発行されたのは、サトリ・ファームズ（Satori Farms）社。サトリ・ファームズ社のトリ・アルムブラスト（Tori Armbrust）氏は女性経営者で、3月はアメリカにおいて女性史月間であることから、この歴史的とも言える初ライセンスが女性経営の企業に付与されたことは、大変象徴的と言えます。

オレゴン州保健局シロシビンサービス部門マネージャーのアンジー・アルビー（Angie Allbee）氏はプレスリリースで、「オレゴン州史上初のシロシビンライセンスを取得し、新興のシロシビンエコシステムを先導する女性の代表となったサトリ・ファームズ社のトリ・アルムブラストさんを祝福します」「私たちは、州全体で安全で効果的かつ公平なシロシビンサービスを保証するために、規制されたコミュニティとの包括的なパートナーシップを育むことを約束します」とコメント。

オレゴン州シロシビンサービス部門は2023年1月2日より、生産者、研究所、サービスセンター、ファシリテーターといった4種類のライセンスの申請受付を開始。現時点で47件のライセンス申請と177件の労働許可申請があり、48件の労働許可申請を承認。今後数ヶ月以内に、ライセンスも追加で発行していく予定だとしています。

また最近、シロシビンファシリテーターを養成するインタートレック（InnerTrek）社において、約100名が卒業を迎えたことが報じられています。これらの卒業生は、インタートレック社の最終試験に合格した後、オレゴン州保健局による試験を受けることで、サービスセンターへの配属が可能となります。

一方、オランダに拠点を置く企業であり、シロシビンファシリテーターを養成するシンサシス・インスティチュート（Synthesis Institute）社は、オレゴン州で200名以上もの生徒を抱えていたにも関らず、3月21日に裁判所から破産宣告を受けたことが明らかとなっています。

また、シロシビンの個人使用はオレゴン州全体としては認められたものの、州内36郡のうち25郡がプログラムの脱退を決定。つまり、州内でもシロシビンにアクセスできるのは、一部の地域のみとなります。

懸念が残る状況ではありますが、オレゴン州でシロシビンセンターの利用が可能となるのは、2023年半ばから後半頃になる見込みです。

2022年末にオレゴン州とほぼ同様の法案を可決したコロラド州は3月22日、シロシビン合法化の枠組みを監督する諮問委員会のメンバー候補15名を指名したことを発表。これらのメンバーは上院で承認されることで、正式に委員会メンバーとなる予定です。