イギリス国内初、オンライン医療大麻クリニックが開設

3月13日、イスラエル発の大麻企業「カナボウグループ（KANABO Group）」は、疼痛を抱える患者を対象としたイギリス初のオンライン医療用大麻クリニック「トリートイット（Treat it）」を開設したことを発表しました。

カナボウ社は2022年に、遠隔医療やオンライン健康管理サービスのプロバイダーの1つであるイギリスの大手企業「GPサービス（GP Service）社」を買収。GPサービス社の技術を大麻業界に導入することで、この画期的な医療システムを誕生させることに成功しました。

トリートイットでは、既存の治療法で痛みを十分に緩和できない患者が、経験豊富な医師と通常24時間以内に安全にオンラインでアクセスすることが可能。医師は画面越しの対話を通じて患者の状態を把握できるだけでなく、独自のネットワークにより医療記録にもアクセスすることができるため、効率的に治療法を提案することができます。

医師から出された処方箋は独自のネットワークで連携された約4,000の薬局へと送信され、そこから処方された大麻が直接患者の元へ送付される流れとなります。配送は新規であれば1週間以内に行われ、リピートの処方であれば翌日に送付されます。

これにより、従来の治療で効果のない痛み、鎮痛剤に伴う副作用、別の治療を紹介されるまでの長い待ち時間（最長で13時間という話も）を解消することを目的としています。

イギリスには偏頭痛、坐骨神経痛、がん性疼痛、関節痛、多発性硬化症、神経障害などの慢性疼痛を抱える患者が約800万人いるとされ、オピオイドなどによる現在の治療を医療用大麻に切り替えることで、約300万人の患者が恩恵を受けると推測されています。

GPサービスの創設者であるスレマン・サクラニー（Suleman Sacranie）氏は「イギリスでは、何百万人もの慢性疼痛患者が都合の良い時に治療にアクセスすることができず、不必要に苦しんでいます。私たちの安全な患者医療記録システムは、患者の転帰のために最適化されており、これによりトリートイットの医師は数時間以内に患者の相談を受け、適切な場合には医療用大麻を処方し、数日後に配達することが可能です」とコメント。

カナボウ社のCEOアビフ・タミール（Avihu Tamir）氏は「私たちは大麻製品の会社でしたが、今や正式な医療エコシステムを持つテクノロジー企業です」「トリートイットにより、私たちは安心で容易な医療用大麻治療へのアクセスを提供し、玄関先までお届けすることで、患者さんの手に力を取り戻そうとしています。慢性的な痛みに苦しむ人々はしばしば失望し、十分なサービスを受けられていないままであり、私たちは従来の医薬品に代わる治療の必要性を認識しています」と述べました。

トリートイットの設立を支援し、トリートイットのクリニカルディレクターを務めるセントジョージ病院（St. George’s Hospital）のメヘラン・アフシャール（Mehran Afshar）医師は、このサービスが医療用大麻に警戒心を抱いている人々を市場に取り込むための鍵になると考えています。

「医療用大麻を知らない、あるいは間違った認識を持っているナイーブな患者さんにアプローチするためには、患者さんが大麻ビジネスではなく、臨床サービスとして見てくれるように、患者さんの悩みの全てを把握することが根本的に必要だと思います」「GPサービスを通じて、リウマチ専門医を紹介したり、精神科医を紹介したり、スキャンやレントゲン、血液検査など、さまざまな医療サービスを自由に利用できるようにすることで、正当性や信頼性が高まるだけでなく、臨床的な観点からも、患者さんにとってはるかに優れたサービスになると思います」

つまり、このサービスは医療用大麻による治療にアクセスできる一方、GPサービスを経由してそれ以外の医療サービスを模索するのにも役立つことを意味します。

今後カナボウ社は、心理学と精神医学に焦点を当て、不安、ストレス、うつ病、PTSDの患者を支援する予定です。