大麻成分CBG、2033年には8兆円超の市場規模に達する見込み

5月25日、米国メリーランド州に拠点を置く市場調査企業「Fact.MR」が新たなレポートを発表。これによれば、大麻に含まれる成分「CBG（カンナビゲロール）」の世界市場規模は、2033年末までに600億ドル（約8兆4,400億円）を超える見込みです。

CBGは大麻に含まれる成分「カンナビノイド」の1つであり、CBGAが脱炭酸することによって生まれます。CBGAは「母なるカンナビノイド」とも呼ばれ、若い大麻に多く存在。CBGAは時間経過とともにTHCAやCBDAなどのカンナビノイドへと変化。これらが脱炭酸することで、よく知られたTHCやCBDなどのカンナビノイドが生まれます。

THCやCBDなどのカンナビノイドには医療効果があることが明らかとなってきていますが、CBGも例外ではありません。特に、CBGはCBDと同様、精神活性作用がないことから、医療での活用に期待が高まっています。

CBGを用いた研究はまだ初期段階にあり、ほとんどが試験管や動物におけるものとなっていますが、その中でCBGは抗炎症作用、抗酸化作用、鎮痛作用、神経保護作用、抗不安作用、抗菌作用、降圧作用、抗がん剤による副作用の緩和、抗がん作用など、様々な医療効果を有する可能性を示しています。

CBG優位の大麻使用者127名を対象としたアメリカの調査では、半数以上が医療目的での使用を報告。具体的症状として多かったのは、不安（51.2%）、慢性疼痛（40.9%）、うつ病（33.1%）、睡眠障害（30.7%）など。大多数がCBG優位の大麻の使用によりこれらの症状の改善を報告するだけでなく、慢性疼痛（73.9%）、うつ病（80%）、不眠（73%）、不安（78.3%）においては、従来の医薬品よりも優れていると主張する回答が目立っていました。

今回発表されたFact.MRの調査によれば、CBGの世界市場規模は2022年の68億3,000万ドル（約9600億円）から、2033年末までの10年間で年平均成長率（CAGR：Compound Annual Growth Rate）22%で急成長し、608億4,000万ドル（約8兆5600億円）に達する見込みです。CBGの売上はイギリスにおいてCAGR29%、インドにおいてCAGR31%で拡大すると予測されています。

この拡大の背景には、CBGの利点に対する消費者意識の高まり、大麻製品の合法化の拡大、栽培・抽出技術の進歩、変化する規制環境などがあるとFact.MRのアナリストは述べています。

なお、同企業は以前、CBDの世界市場規模が2021年の30億ドル（約4200億円）からCAGR28%で成長し、2030年には340億ドル（約4兆7800億円）規模に達すると予測しています。