11月29日、CBDが抗生物質と併用することで食中毒の原因菌「サルモネラ」に対し相乗作用を示したことがアメリカの研究者らにより報告されました。
発熱して病院に行った時や手術の後など抗生物質のお世話になったことがある人は多いのではないでしょうか。抗生物質には様々な種類があり、それぞれ有効性に優れています。
しかし、抗生物質の使いすぎは危険。細菌も生物なので、生き残るために対応し、抗生物質に耐性を持つようになります。1つの抗生物質に耐性を持つならまだしも、多くの抗生物質に耐性を持つようになると感染を起こしても治療が困難となり、命の危険に関わります。
サルモネラは食中毒の原因菌としてよく知られており、このうちサルモネラティフィムリウム(ネズミチフス菌)は抗生物質に耐性を持ちやすいとされています。こういった理由もあり、基本的にサルモネラ感染による食中毒には抗生物質は使用せず、水分補給や電解質の補正のみで対応します。
ですが、免疫力の低い高齢者や幼少期の子ども、また菌が血中にまで達した場合には抗生物質を用いることがあります。そのため、サルモネラに対し抗菌作用を持つ新たな薬剤の模索が現在も行われています。
大麻に含まれる成分CBDはMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や肺炎球菌など様々な菌に対し抗菌活性を有していることが明らかとなってきており、今年4月にはサルモネラに対しても有効性が示されました。
今回のインビトロ(試験管内)の研究では、サルモネラティフィムリウムに対し、CBDが抗生物質と併用することでどのような相互作用がみられるのかが調べられました。
用いられた抗生物質は、大腸菌をはじめとした幅広い菌に抗菌活性を持つアンピシリン(ペニシリン系)、ポリミキシンB(ポリペプチド系)、カナマイシン(アミノグリコシド系)。
検証の結果、アンピシリン、ポリミキシンBは単独で使用するよりもCBDと併用することでより高い抗菌活性を示しました。つまり、アンピシリンとポリミキシンBはCBDと併用することで、有効量よりも少ない量で有効性を示すことが可能ということになります。
さらにアンピシリンとポリミキシンBはそれぞれCBDと併用することにより、24時間以内でほとんど耐性が出現しなかったことも明らかとなりました。
一方、カナマイシンでは単剤での使用とCBDとの併用で抗菌活性に差が認められませんでした。このことは、CBD併用による相乗作用が抗生物質の薬理作用に依存している可能性を示していると、研究者らは述べています。
※使用された抗生物質の薬理作用
・アンピシリン
細菌が細胞壁を作るのに必要なタンパク質を阻害する。
・ポリミキシンB
細菌の細胞膜の透過性を変化させる。
・カナマイシン
細菌が生命維持に必要なタンパク質の合成を阻害する。