これまでの研究において、大麻成分THC(テトラヒドロカンナビノール)やCBD(カンナビジオール)は抗がん剤の副作用の1つである「末梢神経障害」に対し有効性を示し、先月にはその作用がCBG(カンナビゲロール)においても報告されました。
ただしこれらの研究はマウスを対象としたものであり、実際に人において有効なのかはまだ分かっていませんでした。
そんな中でついに2022年8月6日、抗がん剤による末梢神経障害に対するCBDの有効性を「人を対象として」検証した研究が行われ、その結果がデンマークの研究者らにより報告されました。
対象となったのはカルボプラチン・パクリタクセルまたはカペシタビン・オキサリプラチンの併用療法を受ける予定となっていたがん患者54名。CBD摂取者は対照群(CBD未摂取群)と比較し有意に高齢となっていました。
対象者にはこれらの抗がん剤治療開始前の1〜8日間、CBD150mgを1日2回(300mg/日)オイルにて経口摂取してもらいました。CBDの有効性の評価はPRO(Patient-Reported Outcome:患者の主観的報告)と、MFV (Multi Frequency Vibrometry:振動計)による客観的評価により行われました。
その結果、事前にCBDを摂取していた患者は対照群と比べ振動計への感知能力が優れており(末梢神経障害の程度が低いことを意味)、特にその差はカルボプラチン・パクリタクセルの併用療法患者において認められました。
またカペシタビン・オキサリプラチン併用療法患者では、冷感刺激に対する過敏性、冷たい飲み物を飲みこむ時の不快感、喉の不快感がCBD摂取群で有意に低くなっていました。一方、これらはカルボプラチン・パクリタクセル併用療法患者では認められませんでした。
研究者らは「CBDの予防投与は抗がん剤による末梢神経障害の初期症状を軽減し、安全性においても大きな問題はなかった。この結果は今後大規模な臨床試験において検証していく必要がある」と述べています。
なお、今回の研究は現在もフォローアップが続けられています。