30℃を超える連日の猛暑。この真夏の時期に気をつけなければならないことの1つとして「食中毒」が挙げられます。
食中毒の原因となる菌やウイルスにはカンピロバクターや黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌(0-157)などがありますが、サルモネラ属菌もそのうちの1つに該当します。
サルモネラ属菌は2000種類以上存在し、その中で食中毒を引き起こすものとしてよく知られているのはサルモネラエンテリティディス(腸炎菌)とサルモネラティフィムリウム(ネズミチフス菌)です。これらのサルモネラ菌は鶏卵や加熱不十分な食肉(鶏、牛、豚など)、犬や猫、ミドリガメなどにも存在します。
2022年4月、そんなサルモネラ属菌のうちサルモネラティフィムリウムとサルモネラニューイントンに対し、大麻成分CBD(カンナビジオール)が有効性を示したことがアメリカの研究者らにより報告されました。
これら2つのサルモネラ菌に対しCBDオイルを使用した結果、用量依存的に抗菌活性を示し、細菌の増殖を抑制する効果が認められました。この抗菌活性はペニシリン系抗菌薬であるアンピシリンと同等であることも示されました。
また、このCBDの抗菌作用はサルモネラ菌の細胞膜を破壊することによりもたらされた可能性があるとしています。加えてCBDはサルモネラティフィムリウムが形成するバイオフィルムにも有効であることが示されました。
※バイオフィルムとは
細菌の集合体であり、加えてそれぞれの細菌が多糖類を分泌することにより膜を形成した状態。水場のヌメリなどもバイオフィルムの一種。バイオフィルムが形成されると消毒薬や抗生剤の効果が妨害され、感染症治療において問題となる。
これまでの研究において、CBD、THC(テトラヒドロカンナビノール)、CBC(カンナビクロメン)、CBG(カンナビゲロール)、CBN(カンナビノール)が院内感染でしばしば問題となるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に対し強力な抗菌活性を有することが報告されています。
さらにCBDは肺炎球菌やクロストリジウム・ディフィシルなどといった細菌に対しても有効性を示したことが報告されています。