大麻使用者は非使用者よりも整形外科手術後の合併症の発症率が低い

大麻使用者は非使用者よりも整形外科手術後の合併症の発症率が低い

- アメリカの後ろ向き研究

2022年6月、脊椎変形により胸腰椎固定術を受けた成人患者において大麻使用者が非使用者よりも術後合併症の発症率が低かったことがアメリカの研究者らにより報告されました。

脊椎(背骨)の変形としてよく知られているものに側弯症があります。名前の通り背骨が側方に曲がり変形した状態を指し、背骨を矯正する装具の使用や、ワイヤーやスクリューで背骨を固定する手術など、重症度に応じた治療が行われます。

今回の研究では、ニューヨーク州の28ヶ所の病院における入院・外来患者のデータベースSPARCS(New York Statewide Planning and Research Cooperative System)を活用し、2009年1月から2013年9月の間に胸腰椎固定術を受けた18歳以上の患者データを元に、大麻使用者と非使用者における術後90日以内の合併症、再入院、再手術の割合が比較されました。

対象患者数は大麻使用者・非使用者それぞれ352名で、合計704名。比較の結果、大麻使用者と非使用者との間で心疾患、感染症、急性呼吸不全、肺炎などといった個々の合併症の発症率に有意差は認められませんでしたが、合併症全体としては大麻使用者のほうが発症率が低いことが明らかとなりました。

術後90日以内の再入院と2年以内に再手術に至る割合は、大麻使用者と非使用者との間で有意差は認められませんでした。

大麻使用と整形外科における手術との関連性については、この他にも報告があります。

2022年5月のアメリカの論文では、人工股関節全置換術(変形性関節症や関節リウマチ、骨折などにより股関節の機能障害を認めた患者に適応される手術)を受けた患者において、大麻使用者と非使用者との間で術後合併症の発症率に有意差が認められなかったことが報告されています。

また2019年のアメリカの論文では、整形外科で手術を受けた患者において、大麻使用者は非使用者よりも死亡率が低かったことが報告されています。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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