大麻使用者は整形外科手術後に長期でオピオイドを使用する割合が少ない

大麻使用者は整形外科手術後に長期でオピオイドを使用する割合が少ない

- アメリカの後ろ向き研究

大麻は鎮痛作用があることで知られており、特に慢性疼痛において有効性が報告され、その作用はオピオイドの減薬に寄与する可能性があります。

オピオイドはがん性疼痛に処方されることが多いように思われますが、アメリカでは整形外科でも多く処方されています。2021年の研究では、医療用大麻の合法化後、整形外科医によるオピオイドの年間処方量が19.7%減少していたことが報告されました。

これらのことから、大麻は整形外科手術後のオピオイド使用の減少にも期待が寄せられています。

今月19日、大麻使用が人工関節置換術後のオピオイド使用に及ぼす影響について調査した結果がコロラド州の研究者らにより報告されました。

対象となったのは人工膝関節全置換術(TKA)、人工股関節全置換術(THA)を受けた人々。これらの手術は骨折や関節リウマチ、変形性関節症で適応となります。手術前後12週間に大麻を使用した人を「大麻使用者」と定義し、その数はTKAで128名、THAで82名となりました(使用した大麻の量、頻度、品種等は不明)。検証はこれらの大麻使用者210名と、同じ手術を受けた非使用者210名をマッチングすることにより行われました。

その結果、入院中・退院後のオピオイドの使用量(MME)と使用期間は両群で有意差が認められませんでした。ですが、術後90日以降もオピオイドを使用していた人は大麻使用者のほうが有意に少なくなっていました(大麻使用者1.4%、非使用者9.5%)

※MME(Morphine Milligram Equivalents)とは

異なるオピオイド鎮痛薬をモルヒネの量として等価換算すること。これにより異なるオピオイドを使用していたとしても、使用量を比較することが可能になる。本研究ではオピオイドの使用量は全てMMEで算出されている。

続いてTHAとTKAにおいてそれぞれ検証。

THAでは全体の結果と同様に入院中、退院後のオピオイド使用量と使用期間は両群で有意差が認められず、術後90日以降オピオイドを使用していた人の割合が大麻使用者で有意に少なくなっていました(大麻使用者1.2%、非使用者7.3%)。

一方、TKAでは入院中、退院後のオピオイド使用量と使用期間は両群で有意差が認められなかったものの、大麻使用者では退院後のオピオイド使用量が多く(大麻使用者191、非使用者158)、使用期間も長い傾向にありました(大麻使用者15.5日、非使用者11.6日)。ですが、術後90日以降オピオイドを使用していた人の割合は他と同様、大麻使用者で有意に少なくなっていました(大麻使用者1.6%、非使用者10.9%)。

つまりこれらの結果は、大麻使用は術後の急性疼痛ではオピオイドの使用量を増加させる傾向にあり、その後の慢性疼痛ではオピオイドの使用量を減少させる可能性があることを示しています。

繰り返しになりますが、大麻は主に慢性疼痛に対し有効性が示されています。急性疼痛に対しては有効性を示さないことが多く、むしろ手術前に大麻を使用していると術後にオピオイドの使用量が増えるといった報告もみられたりします。今回の研究は、この両側面を反映した結果と言えるかもしれません。

今月21日に公開されたアメリカの別の研究では、今回の研究結果と同様、術前の大麻使用はTHA後の入院中及び退院後90日以内のオピオイドの使用量増加とは関連しなかったことが報告されています。

また今年6月には、脊椎固定術後の合併症発症率が大麻使用者で低かったことが報告されています。

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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