2022年6月21日、大麻成分CBD(カンナビジオール)が閉経後の骨粗鬆症や代謝異常に対し予防効果を示したことがアメリカの研究者らにより報告されました。
女性ホルモンの1つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)は、閉経後に分泌量が減少します。
エストロゲンは女性らしさをもたらし、月経周期や妊娠・出産において重要な役割を果たしますが、他にも骨量の維持やコレステロール値の調節、動脈硬化の予防など様々な作用があります。
よって閉経後の女性では骨粗鬆症や脂質異常症・糖尿病などの代謝異常を認めるリスクが高まります。なお、これらには腸内環境(腸内細菌・腸内フローラ)の変化が関与することも指摘されてきています。
大麻に含まれる主なカンナビノイドの1つであるCBDは、これまでの研究により骨代謝や糖質・脂質の代謝だけでなく、腸内環境も調節する可能性があることが示されています。
今回の研究では、卵巣を摘出したマウスにCBDを使用することにより有効性が検証されました。エストロゲンにはエストロン、エストラジオール、エストリオールの3種類がありますが、閉経前に主に働いているエストロゲンはエストラジオールであり、これは卵巣で作られています。よって卵巣の摘出は閉経後のエストロゲン欠乏に似た状態をもたらします。
研究の結果、CBDはこのモデルマウスにおいてエストロゲン減少による骨量の減少や糖代謝の異常を予防したことが報告されました。つまりこれは閉経後の女性において骨粗鬆症や代謝異常を発症するリスクを減少させる可能性があることを意味しています。なお、この作用は乳酸菌の増加などの腸内環境の変化や抗炎症作用によってもたらされたことが示されました。
近年、腸内環境を整えることが心身のあらゆる病気の予防に有効であると言われてきており、「腸活」がブームとなっています。今回の研究結果から、CBDは腸活にも貢献する可能性があると言えそうです。