アフガニスタンのタリバン政権、大麻栽培の禁止を発表

2001年、米同時多発テロの首謀者であるビン・ラディン氏を匿ったアフガニスタン・タリバン政権は、アメリカの侵攻により一度崩壊。その後、アメリカ軍はアフガニスタンで新たな体制づくりのために駐在するも、うまくいかないまま20年の時が経過し、2021年に完全撤退。その直後、タリバン政権は恐るべきスピードで首都カブールを制圧しました。

イスラム原理主義組織であるタリバン政権が再度樹立され、約1年半が経った3月19日。最高指導者であるハイバトゥラー・アクンザダ師は、大麻の栽培をアフガニスタン全土で禁ずる公式命令を発表。

声明の中で、アクンザダ師は「（大麻の）栽培は全土で完全に禁止され、もし栽培する者がいれば、その農園は破壊されることになる。裁判所はシャリーア（イスラム法）に従い、違反者を罰するよう命じられている」と述べています。

アメリカから空爆を受け崩壊したタリバン政権は、アメリカが駐在している間、アヘンを他国に密輸することで資金をどんどん蓄えていたことで知られています。報告書によれば、2021年にその収入は27億ドル（約3,570億円）に達していたとされています。

一方、大麻の栽培は、タリバン政権が誕生するよりもずっと昔から、アフガニスタンで盛んに行われてきました。ただし、アフガニスタンでは元々、大麻の使用、所持、販売、栽培などは違法となっています。産業用大麻や医療用大麻どころか、CBDすら認められていません。

ですが、モロッコと同様に、アフガニスタンは違法でありながらも世界有数の大麻栽培国であり、2010年の国連調査においては、その生産量がトップであったことが報告されています。

主に大麻樹脂（ハシシ）を生産し、ヨーロッパを中心とした国外に密売していたため、アフガニスタン産のハシシは今でもヨーロッパを中心に多くの国で普及していると言われています。

しかし、今回のアクンザダ師の命令により、今後は本格的に大麻の栽培が取り締まられることになります。

一方、2021年11月にタリバン政権は、ドイツ企業と契約し、大麻を栽培・製造することを発表しています（当初、オーストラリアの「Cpharm社」と思われていたが、後にドイツの「CPharm International社」であったことが明らかとなった）。しかし、女性への人権侵害などが目立つタリバン政権は、国連から国家として認められていないこともあり、この契約は保留となっています。

今回の発表は、この契約が白紙になることも意味しているかもしれません。